日本語のオンラインレッスンで、需要が高い授業の1つがフリートークの授業です。
「フリートークの授業って、何するの?」「授業はどんな風に進めるの?」と疑問を持っていませんか?
今回は、フリートークの授業の具体的な進め方を解説すると共に、ポイントも紹介します!
この記事は以下のような人におすすめ!
・フリートークの授業の進め方を知りたい
・授業のアイディアを増やしたい
フリートークの授業とは?
授業内容
フリートークの授業は、教師と日本語学習者が自由に日本語を話すことが基本です。
しかし、教師が何も準備しないで、「じゃ、日本語を話しましょう」と言っても、話のネタに困ったり、学習者から日本語がなかなか出てこなかったりします。
そのため、フリートークの授業では、特定のトピックを決めて、話すことが多いです。
では、フリートークの授業の具体的な進め方やポイントについて、詳しく解説します!
授業の進め方・ポイント
1.ウォーミングアップ
ウォーミングアップは、その日の授業がスムーズに進むように、学習者の緊張をほぐすことを目的とした活動です。
話しやすい雰囲気を作るためにも、学習者に合ったウォーミングアップの方法を選ぶ必要があります。
ここでは、ウォーミングアップの具体的な方法を3つ紹介します。
方法1:学習者の身近な事柄について質問する
身近な話題、例えば「昨日」や「天気」について、教師が学習者に質問します。
学習者が答えやすいように、学習者自身や学習者の身の回りのことについて「事実確認」する質問がいいでしょう。
一番簡単な方法で、私もよく使います!ただ、毎回同じ質問だと、学習者の答えもマンネリ化してくるので、注意が必要です!
方法2:学習者の興味がありそうなレアリアを見せて、会話する
レアリアは、授業のために作られたものではない「実物」という意味です。例えば、日本語のマンガ、日本のスーパーで買った食材や調味料、子どもの学校の教科書です。
オンライン授業の特徴の1つが、教師も学習者も自分の家にいることが多いことです。家の中は、その人のプライベートスペースで、会話が盛り上がるレアリアがたくさんあります。
レアリアを使う魅力の一つが、学習者に与える情報のインパクトです。レアリアには、色、形、文字などの色々な情報を含んでいて、この情報はカメラ越しでもあっても、学習者に伝わります。そして、このインパクトは日本語学習の動機付けに繋がります。
また、教師が見せるレアリアを通して、学習者は教師のプライベートを覗くことができます。学習者は、教師自身のことを知ることで、心理的距離を近く感じ、授業の雰囲気も良くなるでしょう。
方法3:前回の授業の復習
復習は、学習した内容を定着させるのに、とても有効な学習方法です。
前回の授業がすぐに思い出せる時期に実施していたのであれば、ウォーミングアップの時間を使って復習してもいいでしょう。
例えば、「前回の授業では、どんな話をしましたか」「どんな新しい言葉を覚えましたか」と質問をして、前回の学習をおさらいすると同時に、日本語で会話をすることができます。
ポイント:日本語の指導は控えめに!
ウォーミングアップの目的は、学習者の緊張をほぐすことです。
授業が始まってすぐに、厳しい日本語の指導をたくさんすると、学習者はどうなるでしょうか。日本語を話すことに緊張してしまったり、授業に対してモチベーションが下がってしまったりすることが多いでしょう。
ウォーミングアップ中の日本語の誤りは大目に見て、誤りを指摘するにしても、簡潔に行うように意識したほうがいいです。
2.トピックの導入
方法1:教師が自分の話をする
授業で扱うトピックについて、教師が自分の経験談などを話します。
以下は、トピック「趣味」のときの具体例です。
あい
私の趣味は映画鑑賞です。アメリカのラブストーリーが好きで、よく見ています。週に2,3回見ます。一人で見るのも好きだし、友達と一緒に見るのも好きです。
方法2:学習者に写真やイラストの内容を描写させる
トピックに関連した写真やイラストを提示して、その内容を学習者に描写させる方法です。
描写させた後は、写真の内容に関連したことを学習者に質問してもいいでしょう。
以下は、トピック「趣味」にときに使える写真と教師と学習者の会話例です。
※Tは教師のセリフで、Lは学習者のセリフです。
T:写真を見てください。女の人がいますね。何をしていますか。
L:ヨガをしています。
T:ヨガはどんなスポーツですか。
L:同じポーズをずっとします。
T:Lさんはヨガをしたことがありますか。
L:はい、あります。
T:どうでしたか。
L:簡単にできて、面白かったです。
方法3:語彙や話題の紹介
教師がトピックに関連した語彙やウェブページを紹介するのも、有効な導入方法です。
例えば、トピック「趣味」のときには、「読書」「映画鑑賞」「音楽鑑賞」「ギャンブル」「スポーツ観戦」などの語彙を紹介してもいいでしょう。
それから、ネット上には日本人を対象に「趣味」についてアンケートを実施した調査結果を公表しているサイトもあります。このようなサイトを活用しても面白いと思います。
3.会話の練習
トピックについて会話する
決めておいたトピックについて、教師と学習者が日本語で話します。
学習者が日本語を話す練習の場となるように、教師は学習者にたくさん質問をするようにしましょう。
授業中会話に困らないように、トピックについての大まかな質問を事前に準備しておくと安心です。
私は、30分の授業に対して、10~15個の質問を準備するようにしています。
日本語の誤りを指導する
フリートークの授業を受講する多くの学習者は、「日本語を正確に話せるようになること」を望んでいます。
そのため、教師が学習者の誤り(文法、語彙の選択、発音の間違いなど)を指摘し、正しく指導することも、教師の大事な役目です。
日本語の文を作る手助けをする
上のように、学習者が言いたいことがあるけど、日本語がどうしても出てこない、もしくは表現したい語彙や表現を知らないときには、教師がその日本語を教えてあげましょう。
ただし、ここで大事なのが、教師が一方的に日本語をどんどん教えないことです。
学習者の日本語で話す力を伸ばすためには、学習者が自分の持っている日本語の知識を使って、できるだけ自分の力で日本語の文を作る経験をたくさん積ませることが大切です。
ポイント:学習者の話を遮らない
会話の練習時間で難しいのが、日本語の誤りを指摘したり、語彙や表現を紹介したりするタイミングです!
学習者が一生懸命日本語を話しているところを遮って、日本語を指導するのは、できるだけ避けたほうがいいでしょう。
人は誰でも話を遮られると、ストレスを感じます。一生懸命日本語を話してる途中であれば、なおさらストレスを感じるでしょう。
すると、学習者の授業に対する意欲も下がってしまい、授業の雰囲気も悪くなってしまいます。
私は、会話の区切りがいいところで、会話をハッキリと一時中断させてから、日本語の誤りを指導したり、語彙や表現を紹介したりするようにしています。なぜなら、学習者が「日本語を話す」という活動から、「日本語を学ぶ」という活動に、きちんと意識を向かせたほうが、学習内容に集中できるからです。
4.授業のまとめ
今日話した内容・日本語の誤りの再確認
教師主導の形で、授業で話した内容を振り返ります。
教師が話し内容を要約してもいいですし、印象的だった内容をピックアップして話してもいいです。
それから、時間に余裕があれば、授業中に教師が指導した内容や、新出の語彙や表現を再確認してもいいでしょう。
授業の最後に、学習した内容を整理することで、学習者は具体的にどのような学びと成果があり、自分にとってどんな価値があったのかを考えることができます。
学習者の日本語力に対するフィードバック
学習者の日本語力を伸ばすためにも、授業の終わりに「フィードバック(振り返り)」の機会を作るようにしましょう。
フリートークの授業でのフィードバックは、学習者の「話す力」と「会話する力」において、「優れているところ」と「今後頑張る必要があるところ」を示すことです。
学習者は、現時点での自分の日本語力を知ることで、次の学習目標を考えることができます。そして、継続的に授業を受講する動機に繋がるでしょう。
宿題
学習者に宿題を出すのは、学習した内容を定着させるのに非常に有効な方法です。
フリートークの授業では、「授業で話した内容を書いてまとめる」もしくは「授業で話した内容の一部について詳しく書く」などの作文の宿題がオススメです。
ポイント:学習者の性格を考慮して、フィードバックをする!
「厳しいフィードバックをすると、モチベーションが下がる学生」もいれば、逆に「甘いフィードバックすると、モチベーションが下がる学生」もいます。
フィードバックの目的は、学習者の「日本語力」と「日本語学習に対する意欲」の向上です。
短い授業の中で学習者の性格を見極め、適切なフィードバックをを行えるように頑張りましょう。
まとめ
この記事では、「フリートークの授業の具体的な授業の進め方やポイント」を紹介しました。
初めは難しく感じるかもしれませんが、授業の経験を積んでいくと、自分に合った授業の進め方がわかります。焦らず、少しずつチャレンジしてみましょう!
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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